指先の記憶

いくら考えても結論は出ないから、おれたちは仕事に戻った。



魂の大きさはできるだけ気にしないようにして。



それに、動物の種族が違えば大きさも微妙に違ったから、そのうち気にならなくなっていった。



ただ、いままで感じていた居心地の良さが少し変化したような気がする。



おれはどうにも集中力が続かなくて、一休みすることが増えていた。



「ユノ、そろそろ休憩しようか。」



チャンミンはそんなおれの状態を感じ取って、自分は疲れてなくても声をかけてくれた。



「うん、ありがと。でもチャンミンはまだだいじょぶだろ？おれひとりで休んでくるよ。」



「何言ってるの。ぼくもいっしょに行くよ。だってぼくたちニコイチだろ？」



チャンミンが茶目っ気たっぷりにそう言ってくれるだけで、気持ちも体も楽になった気がする。



だからもう少し仕事をして、それから連れ立って休憩して。



池のほとりで休憩しているときも、前はすごく楽しかったんだけど、いまはホントに休憩している。



それでもチャンミンはイヤな顔ひとつせず、おれのそばにいてくれた。



そんなとき、、、



「なあなあ、みんな聞いたか？」



仕事中に、休憩から戻ってきたひとが勢い込んで話しだした。



「最近、魔界に落とされる天使が増えてるらしいぞ。」



「え～？！」



そのひとといつもいっしょに仕事している先輩天使さんたちが驚きの声を上げる。



おれは初耳だったけど、増えてるってことは以前からいたってことだよな？



チャンミンに目を向けると、チャンミンも初耳だったようで目が真ん丸になっていた。










最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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