人魚の涙
- 2017/02/01
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このお話では、おふたりとも高校3年生です。ミンホの予定ですが、あまりそういうシーンはないかも・・・?(前作もそんなこと言ってたようなww)前作の反省に則り、登場人物はSMFのお名前をお借りしますwお話の設定上、ユノさんのイメージは実際とはかなり違っていますので、もろもろ大丈夫な方のみ、お読みください。_________________高等部棟3階の東の端の教室。前の入り口から入って、黒板に貼られた席...
人魚の涙 2
- 2017/02/02
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本鈴が鳴り出すのと同時に、前の扉が開いて先生が姿を見せる。1分1秒もムダにしないこの学園のルールだ。3年A組の担任は毎年キム・ヨンミン先生、進路指導主任でもある。厳しいことでは定評があるけど、生徒ひとりひとりのことを細かく分析していて、先生のアドバイスを真摯に聞いて努力すれば必ず希望学科に合格できると言われている先生だ。ところがその厳しい先生が1分1秒を惜しむこの学園で、ありえないことをした。長身の...
人魚の涙 3
- 2017/02/03
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連絡事項はそれだけだったらしく、次の教科担当の先生がすぐに教室に入ってくる。この学園では、高等部の2年終了時には卒業できる単位と学力がつくようカリキュラムが組まれていて、3年生はひたすら問題集と格闘することになる。だから一般の授業風景はなく、与えられた問題集や配られたプリントにある問題を黙って解いていくだけだ。どうしてもわからなければ、黙って手を上げて先生に来てもらって教えを乞うけど、教室の後ろ半...
人魚の涙 4
- 2017/02/04
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「あの・・・」「ん?」午後の授業中、ずっと胸の中でモヤモヤがグルグル回ってて、つい話しかけてしまってからちょっと焦ったけど、言い出して黙るのもおかしいから訊いてみた。「さっきの、腹立たないんですか?」「ああ・・・でも、ホントのことだから。」そんなこと言いながら寂しそうじゃん。「えっと、サッカー部の部長さんだったチョン・ユンホさん、なんですか?」「そうだけど。あのさチャンミン、あ、チャンミンって呼ん...
人魚の涙 5
- 2017/02/05
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もともとぼくたちはクラスのみんなと友だちになるとか考えてないけど、成績別クラスになって6年目ともなるとだいたい近くに座っている人の顔ぶれは決まってくるし、気が合うかどうかもわかってくるから、なんとなくグループができてたりする。最初の何日かは、みんなユノのことを遠巻きに見てたけど、ぼくと話すと必然的にキュヒョンとも話すし、3人で話してればその周りの人も加わってきて、ユノは少しずつクラスの中に溶け込ん...
人魚の涙 6
- 2017/02/06
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ユノさん!お誕生日おめでとうございます♡_________________「ユノ、大丈夫だった?どこも痛くない?」更衣室に向かう前にキュヒョンとふたり、ユノに声をかける。「ありがと、おれは大丈夫。チャンミンは?」「ぼくは大丈夫。」本当はボールをぶつけられた背中が少し痛かったけど。「キュヒョンもぶつかられてたろ?」ユノの大きな手がキュヒョンの背中に触れるのを見て、なんでぼくには触れてくれなかったのか...
人魚の涙 7
- 2017/02/07
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4月末に行われた3年になって始めての実力テスト、結果は3人とも同じ席だった。「あー、ちくしょー。おれ結構がんばったんだけどな。」「残念でした。」「次は絶対入れ替わるからな!」余裕のあるフリしたけど、ユノとぼくの点差はやっぱり一桁で、点数を見てからぼくはずっとドキドキしている。テストの点数が張り出されるようになってからの5年間、1位のぼくと2位の人との差が一桁になったことなんてなかったから。3年にな...
人魚の涙 8
- 2017/02/08
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ぼくたち3人は、日に日に親しくなっていった。休み時間にしかしゃべらなかったのが、昼ご飯をいっしょに食べるようになり、たまにある教室移動も連れ立っていくことが多くなる。下校するときぼくとキュヒョンはいっしょだったけど、ユノとは最初は教室で別れてたのが、一階までいっしょに下りるようになって、最近ではぼくたちは玄関前で、裏口の自転車置き場に回ったユノが自転車を押しながら来るのを待つようになった。ぼくたち...
人魚の涙 9
- 2017/02/09
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キュヒョンはもっといろんなことを訊いてきていた。ユノは所属していた地元の少年サッカーチームを全国大会に導くほどのストライカーで、ウチの学園にスカウトされたらしい。ところがお父さんが堅実な人で、サッカーでプロになって活躍できるのは一握りの人だけだから息子に冒険はさせられないって反対したらしい。けれど自分の力を試したかったユノは、サッカー選手になれなかったら検事になるからって入試を受けて、見事優秀な成...
人魚の涙 10
- 2017/02/10
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5月も半ばを過ぎたころ、朝は晴れてたのに午後から急に雲が広がってきて、下校時には雨が降ってきていた。「あー、結構降ってるなあ。」ぼくの席の後ろに立って、ユノが窓の外を眺めてる。「あ、今日も自転車で来たの?」「うん、天気予報は雨だなんて言ってなかったし。」「どうするの?」「カッパ置いてきちゃったしな。」「傘は?」「持ってない。」「だったらぼくの傘に入ってけばいいよ。どうせ同じ駅までだし、病院の近くで...