偶像崇拝
- 2015/11/01
- 00:00
あっ!・・・・・と思ったときは遅かった。手で顔を隠すのが精いっぱいだった。「だから何度も言ったじゃないですか、表ではやめろって!ったく、学習しない人だな、あんた!」アイツの怒る声が聞こえてくるようだ。深夜だし、帽子かぶってたし、目立たないと思ったんだけどな。気がついたときには店の外からカメラが狙ってた。仕事終わりに仲間たちとちょっとお茶飲んでしゃべりながら、ホッとして・・・それくらい許されないのか...
偶像崇拝2
- 2015/11/02
- 00:00
@Cグループでのデビューが決まって、ひとつだけすごくイヤだったのが、ぼく以外の人たちがぜんぶ吸う人だったこと。あんな、体に悪いってわかりきってるモノをなんで喜ぶのか、意味がわからなかった。思えば、そういう年頃だったんだろう。みんな鏡を見ながら、どうすればカッコいいか研究に余念がなかった。持ち方やくわえ方、ああだこうだ言いながら競い合うように何本も紫煙をくゆらす。中でもアノ人は、ぼくから見てもひとき...
偶像崇拝3
- 2015/11/02
- 12:00
ところが、アイツは第一印象とはまったく違って、がんばり屋で根性があっておれたちのレッスンに必死でついてきた。おれはもともと、ダンスは得意だったけど歌が上手くなくて、いつも先生に怒鳴られながら居残り練習させられていた。アイツは歌は上手かったけど、ダンスはまったくの初心者で、サイドステップくらいしかできなくて、やっぱり居残りさせられていた。部屋に帰ってからも、親父さんと成績を下げないっていう約束をした...
偶像崇拝4
- 2015/11/03
- 00:00
スケジュールは真っ白なままで、普段大食らいのアイツが飯を食わなくなり、心配したご両親が実家に連れて帰った。おれは、ひとり取り残された合宿所でぼんやりしているのがイヤで、地下鉄の路線図を手に、街中を歩き回った。途中、腹が減ったら屋台のトッポッキを買い食いしたり、疲れたらカフェでお茶を飲んだり、売れてからはできなくなっていたことをやってみた。もう一度やってみたいってずっと思ってたはずなのに、何をしても...