巻かなかった世界 56
- 2018/11/07
- 23:00
このお話は2017年7月4日から連載していました『巻かなかった世界』の続編です。このお話だけでも筋は通りますが、まだ前編をお読みでない方はカテゴリーからお目通しいただければうれしいです。前編は、チャンミンさんがもし東方神起に入っていなかったらユノさんはどうなっていたか、を私なりに妄想して書きました。後編は、東方神起に入らなかったチャンミンさんとユノさんが出会ったところから、チャンミンさんがそれまでどう...
巻かなかった世界 57
- 2018/11/08
- 23:00
な、なんと?!拍手総数がすごいことになってます!120273(本日22:00現在)いつの間にか12万を大幅に越えてました(;^ω^)どなたが踏んでくださったのかなあ。昨日・今日と爆読みしてくださった方がいらっしゃるみたいなので、その方なのかしら。とにかく!踏んでくださった方、ありがとうございました!!!そしてそして、いつもポチポチ押してくださってるみなさま!ありがとうございます!!!________________...
巻かなかった世界 58
- 2018/11/09
- 23:00
サムソン美術館の正面玄関に着いたのは、約束の一時までまだかなりある時刻だった。ここ数日緊張しているのか、よく眠れないしあまり食欲もない。誰かと外で待ち合わせなんて、中学生のときに友だちと買い物に行ったとき以来か。しかもそこは、自転車で行ける地元の大きなショッピングモールだった。あー、ドキドキする。まだ時間があるのに、こんなんで耐えられるんだろうか。もうすでに逃げ出したい気分だ。「おーい」ん?誰かが...
巻かなかった世界 59
- 2018/11/10
- 23:00
胸に浮かんだモヤモヤを消せないまま、ぼくたちはそれぞれにチケットを買って館内に入った。平日の昼間だし、それほど高名な画家の作品展でもないから、気兼ねなくゆっくりと観て回ることができる。しばらく歩いていたら、それぞれに自分のペースで観ているはずなのに、どういうわけか同じ作品の前で長く立ち止まっていることに気がついた。やっぱりぼくたちは同じ絵に惹かれるんだ。さっきまであんなに緊張していたのに、そのこと...
巻かなかった世界 60
- 2018/11/11
- 23:00
そのあと、ぼくは何が何だかわからなくなって、気がついたらカフェのテーブルでユノさんと向かい合って座っていた。あの瞬間まで平気だったのに、いまはまともに顔を見ることさえできなくなっている。ユノさんは今日観た絵の感想を楽しそうに話してるけど、残念ながらぼくにはよくわからない。ユノさんの正体に気づいてから観た絵の記憶は、まったく残っていなかったし、それまで観たものについても、頭が働かなくて思い出せなかっ...
巻かなかった世界 61
- 2018/11/12
- 23:00
「他にはどんな歌手が好きなの?」「あ、えっと、、ごめんなさい。普段は洋楽聞くことが多い、です。」「そうなの?じゃあ、東方神起だけってこと?」あー、やっぱり本当のことを言わなきゃ。「えっとその、実はぼく、中学生のときにSMエンターテインメントのコンテストに出たことがあって。」「え?ウチの事務所の?」「ええ。歌のコンテストで、その、優勝を、」「優勝?!で、でも、会ったことない、よね。」ユノさんのアーモン...
巻かなかった世界 62
- 2018/11/13
- 23:00
「ユノさんはいまもSMエンターテインメントに所属してるんですか?」なんとか空気を変えたかったのもあるけど、ユノさんのことも知りたかった。だってあれ以来、本当に姿を見かけなくなったから。もちろんぼくが知らないだけってこともあるんだろうけど。「うん。いまはほとんど裏方だけどね。」裏方?あのユノユノが?!「ユノさんのダンス、ステキだったのに。」思わず言ってしまってから、ユノさんにはユノさんの事情があるだろ...
巻かなかった世界 63
- 2018/11/14
- 23:00
申し訳ございません。PCがバグって初期化したため、設定がうまくできず、書きかけの文章がしばらく表示されてしまいました。目にされたみなさま、ごめんなさい。__________________本当はあのとき僕は、、、逃げ出したんだ。父さんは確かに反対していた。けれどぼくが強く願えば、きっと許してくれただろう。いざとなったらぼくが怖じ気づいてしまっただけだ。父さんはそれがわかってて、SMにもスカウト会社にも...
巻かなかった世界 64
- 2018/11/15
- 23:00
そのときそのことはぼくにとって、いい経験をした、程度のことだった。けれど、あのとき『逃げ出した』という思いは、心のひだのすき間に刺さった小さなトゲとしてずっと残っていたようだ。人見知りも引っ込み思案も輪をかけてひどくなった。父さんが厳しかったから、勉強はがんばったけど、とにかくいい学校に入ることが目標だった。漠然と、父さんみたいな教師になるのかなって思ってただけで、何になりたいとかいう夢は持てなか...
巻かなかった世界 65
- 2018/11/16
- 23:00
ぼくは東方神起を追いかけるようになった。テレビに出ているときは、妹たちといっしょに必ず観たし、その時間に家にいないときは録画してもらった。一年ほど活躍してから日本に進出することになって、こちらではあまり見られなくなったけど、それでもPCで情報を仕入れた。もしもあのときぼくが別の道を選んでいたら、あの人の、ユノユノのとなりにはぼくが立っていたかもしれない。そんな思いが胸の中で渦巻いて、あの人と笑い合う...