ナイトラブ
- 2022/03/07
- 23:00

すみません、今日からアメーバブログで書いていた『ストロベリーナイト』を転載する予定でしたが、第一部の『ナイトラブ』をまだお読みでない方がいらっしゃるかもしれないのでそちらから転載します。全部40話(1話2話が長かったので分けてあります)あるので一日2話ずつ上げていきます。よろしくお願いします。____________早朝に光州から車で来て、得意先を三軒回り、夜遅くにやっとホテルに着いた。いまどきはほ...
ナイトラブ 2
- 2022/03/07
- 23:01

「206号室のチョン様ですね?」 「はい。」 「お待ちしておりました。どうぞこちらへ。」 少し小柄で恐ろしく美しい人が案内してくれた先はバーカウンターで。 カウンターの向こう側は全面ガラス張りになっていて、フロントの男性が自慢していたのが納得できる眺めだった。 「キレイですね。」 「ええ、これが当ホテルの自慢です。」 案内してくれた美しい人が笑顔でメニューを開いて差し出してくれた。 「えっと、酒より先に何か...
ナイトラブ 3
- 2022/03/08
- 23:00

おれは、自分ではわからないけど、人より口が小さいらしく、よくある四角いクラッカーはひと口では食べられない。だからかじって食べようとすると、上に乗ってる具が落ちたり、粉々に割れて破片があちこちに散らばったりするんだけど。ここのクラッカーはサイズが小さくて、乗ってる具もちょうどいい感じの盛り上がり方だから、親指と人差し指でつまんで口に入れると、おれの口に合わせたようにきれいに入った。「ん、んまい。」「...
ナイトラブ 4
- 2022/03/08
- 23:01

「へえ、イチゴのカクテルなんてあったんだ。」「ええ、生のイチゴを潰して入れていますから食感もお楽しみいただけると思います。」「おれ、果物は何でも好きだけど、中でもイチゴが一番好きなんです。」何言ってんだ、おれ。「そうだと思いました。だっていろんな種類がある中で真っ先にイチゴのカナッペを召し上がられたから。」あ、、ちょっとびっくりしてしまったら、勘違いされたみたいで真顔になって頭を下げられた。「申し...
ナイトラブ 5
- 2022/03/09
- 23:00

自分の部屋に戻る間も部屋に入ってからも、頭も心も後悔でいっぱいだった。どうしてあんな軽はずみなことをしてしまったんだろう。酒のせいにはしたくない。出先だから気が緩んだなんて言いたくもない。もう何年も忘れていたトキメキを思い出したから。一晩だけの相手としてじゃなく、本気で知り合いたかったから。そんな言い訳を並べたところで、相手に迷惑をかけた事実は消えてなくならない。はあ胸の中に充満したモヤモヤをなん...
ナイトラブ 6
- 2022/03/09
- 23:01

「え?え?なんで?」部屋に押し入ってきた人の顔を見て、おれはプチパニックになってしまった。だってそれは、あのバーテンダーさんだったから。「ふふっ、ですからお忘れ物をお届けに。あ、それより先ほどは兄が失礼なことをいたしまして、申し訳ございませんでした。」「え、兄?」「ええ、ちょっと過保護でして。」ちょっと照れくさそうに前髪をかきあげる仕草がかっこいい。「あの、中に入れていただけませんか?それともご迷...
ナイトラブ 7
- 2022/03/10
- 23:00

いつもはシングルルームを取るんだけど、急に取ることになった初めてのホテルだったからか、ダブルしか空いていなかった。だからなのか、窓際に小さなテーブルを挟んだ二脚の椅子のセットが置かれていた。おれが先を歩いて奥の椅子に座り、バーテンダーさんはあとをついてきて手前の椅子に座る。いきなりベッドに腰掛けるってわけにはいかないだろうと思っての選択だったけど、もしかして失敗だったか?自分が奥に座ってしまって身...
ナイトラブ 8
- 2022/03/10
- 23:01

「えっと、、チャンミン、さん?」「はい、シム・チャンミンいいます。チョン・ユンホさんですね。」「ユノ、って呼んでください。」「はい。ではユノさん、ユノさんはぼくに敬語を使ってくださらなくてもいいんですよ。ぼくのほうが2コ年下ですから。」「え?」「あ、すみません。宿泊予約のデータを見させていただきました。」あ、そうか。ホテルの従業員だから見られるんだ。けど、急に敬語はいらないって言われてもなあ。それ...
ナイトラブ 9
- 2022/03/11
- 23:00

すみません、バタバタしております(;^_^Aバタバタしてたら、なんと総拍手数が29万回をかなり過ぎているではありませんか?!ありがとうございますありがとうございます。。バタバタしているのでお礼はまたゆっくりと(;^_^A アセアセ・・・___________大きな口で食べられるようなキスに翻弄され、気がつけば裸に剥かれてベッドの上に組み敷かれていた。唇は覆われたままなのに、チャンミンさんも半裸状態で。もしかして...
ナイトラブ 10
- 2022/03/11
- 23:01

「では、失礼いたします。」「は、はい。」礼儀正しくお辞儀をしてくるりと向こうを向き、2~3歩歩いて急に振り向いた。後姿をぼんやり見ていたおれは、きっとめちゃくちゃ間抜け面していたに違いない。「あの、明日チェックアウトのご予定でした、よね。」あ、そうだ。明日も得意先回りをして、すぐに帰ろうと思ってたんだった。「あ、あの、、いまから頼んで連泊にしてもらうことはできますか。」「もちろんです!よろしければ...