肌色の宝物
- 2022/05/07
- 23:00

「あっち~い。」「暑いって言うな、よけい暑くなる。」「けど暑いんだもん、仕方ないじゃん。」「仕方ないって、、ちょ、何だよその汗ぇ!マジで暑苦しいわ!」「え~、そんなこと言ったって汗かきなんだから仕方ないじゃん。」「仕方ない仕方ないっておまえ、」「あ、」「なんだよいったい!?」ぼくはたったいますれ違った人たちの中に、知ってる人がいたような気がして振り向いた。けれど、それがどの人だったのか後姿だけでは...
肌色の宝物 2
- 2022/05/08
- 23:00

ぼくはシム・チャンミン、ゲーム機関連の会社に勤める会社員だ。大学校に入るまでは両親と同じ教師になろうと思ってたんだけど、入学式で隣り合わせたチョ・ギュヒョンと友だちになったのが運の尽きで。共通の趣味がゲームとアニメというオタク体質だったのが災い(?)して、ふたりで最高のアニメゲームを作ろう!と盛り上がってしまった。それからぼくたちは入学した当初の専攻科目は進級・卒業の必要最低限に留め、ゲームソフト...
肌色の宝物 3
- 2022/05/09
- 23:00

「終わったか。」「ええ、なんとか。」「おお、お疲れ。仕上げは若いヤツらに任せて、しばらく休んでいいぞ。」ヒチョリヒョンは満足そうにハグしてくれて、背中をぽんぽんと叩いてくれた。「あざ~す。キュヒョンは?」「それが、メインキャラクターが気に入らないって一から練り直すんだと。たぶん今夜は徹夜だろうな。」「え~~、また?!」「ああ、またまたまたまた、だww」キュヒョンはこのところ、最後まで作ったキャラク...
肌色の宝物 4
- 2022/05/10
- 23:00

ウチの会社は光化門にある韓屋をリフォームした建物だ。ゲストハウスを営んでいたのが廃業して売りに出ていたのをヒチョリヒョンが買ったらしい。個室がいっぱいあって、大きさもいろいろあるから、それぞれ仕事の仕方や個性に合わせて部屋が割り当てられている。他にも在宅で働いてる人もたくさんいるけど。ぼくは小さな個室、キュヒョンは一番大きな部屋にキャラクターデザイン部のみんなといっしょにいる。ヒチョリヒョンの部屋...
肌色の宝物 5
- 2022/05/11
- 23:00

えーっと、この辺りだと思うんだけどな。気になるお店の外観や看板は覚えてるんだけど、走るバスの車窓から見ていたものだから、場所ははっきり覚えていない。バスはあちらからこちらへ走ってるんだから、通りのこちら側には違いないんだけど。「あ、あった。」思わず大きな声を出してしまって、周りの人にチラ見された。うん、思ったとおり美味しそうな匂いがしているけど、だからこそお客さんでいっぱいだ。ここで少し待てば入れ...
肌色の宝物 6
- 2022/05/12
- 23:00

土がついてるってことは、、「もしかしてこちらの陶器はあなたの作品なんですか?」「ええ、そうです。よろしければゆっくりご覧ください。」うっかり入ってきてしまったけど、有名な作家さんだったりするのかな。もしそうなら、ぼくには手が出ない値段がついてる可能性もあるってことか?「こちらの食器類は、普段使いしていただけるようにお手頃な価格設定にしています。」心の声が漏れてたかな。よく見ると、ディスプレイの下の...
肌色の宝物 7
- 2022/05/13
- 23:00

初めて入ったお店の料理に満足して、隣りの陶器のお店に戻る。注文した料理が来るまでの間に、妹たちとのグループカトクに母の日のプレゼントのことを流して。下の妹からは『任せる』と一言だけ。上の妹は送った写真を見て気に入ったようで、自分も見に行きたいと返事が来て。それならと、ぼくはしばらく休みだから来られる日を連絡して、と返しておいた。陶器のお店は外の照明が灯っていて、ドアの上にさっきは気づかなかった小さ...
肌色の宝物 8
- 2022/05/14
- 23:00

机の上にはエプロンと、こんもりした塊に濡れた布をかぶせた物が置いてある。服が汚れないようにエプロンをつけるんだろうと思って広げてみたら、思っていたのとはちょっと違う?「それはいわゆる割烹着というものです。サロンエプロンではお袖が汚れてしまいますから。」確かに長い袖がついているから服は汚れないけど・・・これって食堂の女将さんが着てるやつ、だよなww女性陣からも笑いが起こっている。「泥染めという染色法...
肌色の宝物 9
- 2022/05/15
- 23:00

ぼくも含めて生徒が全員準備できたことを確かめて、先生が教壇に立つ。「改めまして、『CRYSTAL』陶芸教室にようこそ。私はこのお店の店主で陶芸をしているチョン・スジョンと申します。どうぞよろしくお願いします。」先生が自己紹介してお辞儀をしてくれて。「よろしくお願いします。」ぼくたちも異口同音に挨拶を返す。「今日は初日ですから、土を触ってもらうことから始めたいと思います。」つまり先生はその準備をしてくれて...
肌色の宝物 10
- 2022/05/16
- 23:00

「では、土に触れてみてください。」女性陣は、「うわぁ」とか「キャー」とか、何やら叫びながらこわごわ触っているようだ。まったく、黙ってできないものかと呆れてしまう。ぼくも触ってみて、心の中で「ひゃっ!」と叫んだ。冷たくて、しっとりしてて、まるで、、、突然後ろからバタバタと大きな足音が聞こえてきて、それがどんどん近づいてくる。「ごめん!遅くなった!」反射的に振り向いたら、飛び込んできたのは男性で。「も...