こんばんは(あとがき)
- 2015/11/01
- 00:00
今年一月一日から連載してきた『妄想日記』がやっと昨日最終回を迎えました。10か月間に渡って、記事数なんと306話!読んでくださったみなさま、本当にありがとうございました。ときどき、最初から一気読みしてくださる奇特な方がいらっしゃって、そのたび読み返すのですが、まあなんとひどいですね(苦笑)今、上手く書けるようになってるかと問われれば、もちろんそんなことはないんですが、初期のころのは全く持ってひどい!読...
偶像崇拝
- 2015/11/01
- 00:00
あっ!・・・・・と思ったときは遅かった。手で顔を隠すのが精いっぱいだった。「だから何度も言ったじゃないですか、表ではやめろって!ったく、学習しない人だな、あんた!」アイツの怒る声が聞こえてくるようだ。深夜だし、帽子かぶってたし、目立たないと思ったんだけどな。気がついたときには店の外からカメラが狙ってた。仕事終わりに仲間たちとちょっとお茶飲んでしゃべりながら、ホッとして・・・それくらい許されないのか...
失った愛を求めて31
- 2015/11/01
- 12:00
葬式が終わってもまっすぐソウルに帰る気がしなくて、高校時代を過ごした光州の街をぶらついてみた。あの頃はあこがれだったおしゃれなカフェも、今となっては何の変哲もない店に過ぎなくて、テラス席に座ってお茶を飲みながらぼんやり道行く人の流れを眺めていた。遠くからこちらに向かって歩いてくる男女のふたり連れを見て、思わず息をのむ。その周りを歩いているやつらの顔はわからないのに、その女の顔だけは目に飛び込んでき...
偶像崇拝2
- 2015/11/02
- 00:00
@Cグループでのデビューが決まって、ひとつだけすごくイヤだったのが、ぼく以外の人たちがぜんぶ吸う人だったこと。あんな、体に悪いってわかりきってるモノをなんで喜ぶのか、意味がわからなかった。思えば、そういう年頃だったんだろう。みんな鏡を見ながら、どうすればカッコいいか研究に余念がなかった。持ち方やくわえ方、ああだこうだ言いながら競い合うように何本も紫煙をくゆらす。中でもアノ人は、ぼくから見てもひとき...
偶像崇拝3
- 2015/11/02
- 12:00
ところが、アイツは第一印象とはまったく違って、がんばり屋で根性があっておれたちのレッスンに必死でついてきた。おれはもともと、ダンスは得意だったけど歌が上手くなくて、いつも先生に怒鳴られながら居残り練習させられていた。アイツは歌は上手かったけど、ダンスはまったくの初心者で、サイドステップくらいしかできなくて、やっぱり居残りさせられていた。部屋に帰ってからも、親父さんと成績を下げないっていう約束をした...
偶像崇拝4
- 2015/11/03
- 00:00
スケジュールは真っ白なままで、普段大食らいのアイツが飯を食わなくなり、心配したご両親が実家に連れて帰った。おれは、ひとり取り残された合宿所でぼんやりしているのがイヤで、地下鉄の路線図を手に、街中を歩き回った。途中、腹が減ったら屋台のトッポッキを買い食いしたり、疲れたらカフェでお茶を飲んだり、売れてからはできなくなっていたことをやってみた。もう一度やってみたいってずっと思ってたはずなのに、何をしても...
守りたいもの
- 2015/11/03
- 12:00
ドラマへの出演は、ずいぶん前に決めていた。だが、その放送枠の前番組に元メンバーのJが出ていることはあとで知った。正直ちょっと「イヤだな」と思った。テレビ局側にすれば恰好の宣伝材料に違いない。芸能記者さんたちにしても、おいしいネタになるだろう。演技や数字を比較されて、記事にされるのはしかたない。おれはいい。おれは誰に何を言われようと笑ってかわすことができる。だがアイツはダメだ。アイツは感情が顔に出や...
手当
- 2015/11/04
- 00:00
「ただいまー。」「あ、ヒョン。おかえりなさい。どうしたんですか?なんか歩き方、変ですよ?」「うーん、乗馬の練習し過ぎたー。」「もしかして、お尻擦りむいたとか?」「そうみたい。イテテ。」「とりあえず、シャワー浴びてきてください。お薬塗ってあげますよ。」「ええー?恥ずかしいよー。」「何言ってるんですか、いまさら。それに自分じゃ塗れないでしょ?ほら、シャワー。こすっちゃダメですよ。」「んー。」「はい、こ...
寂しがり屋の魂たち
- 2015/11/04
- 12:00
ヒョンのドラマ撮影がやっと終わる。ただでさえハードスケジュールの撮影の上に、ヒョンは殺陣があったし、東方神起としての活動もしなきゃならなくて、その上番宣だか何だか知らないけど、休日デートしていたなんて、訳のわからない熱愛報道までされて、体力的にも精神的にも限界にきているのは傍目にも見て取れた。なのにヒョンは、SMTでも手を抜くってことができなくて、リハーサルで仰向けに倒れ込んだまま起き上がれないほど...
Bloody Love
- 2015/11/05
- 00:00
ぼくたちの村は、人間が言うところの『韓国』という国の山の中の、誰にも知られない場所にある。地図にも載っていないし、道路もない。人間が迷い込まないように周囲には結界が張られているんだそうだ。世界中のどこの国にもぼくたちの仲間はいて、似たような暮らしをしているらしいけど、たぶん一生その人たちと会うことはない。ぼくたちの種族は、いわゆる絶滅危惧種に指定されていて、どの国でも保護されているけど、それを知っ...