こんばんは
- 2016/08/01
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8月になりました!私が住む地方では、毎日暑い日が続いているのですか、関東・東北は例年より梅雨明けが遅くなったようですね。それなのに、関東は水不足になりそうだとか・・・ここ数年、『集中豪雨』や『ゲリラ豪雨』が頻発し、水害や土砂災害の危険性が高まるなど、「危ない」と思ったら早めの避難!を心がけましょう。さて、私事ですが、ときどき一気読みしてくださる方がいらっしゃって、過去記事に拍手をいただくと、自分で...
心の声に耳をすませて 248
- 2016/08/01
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「さて、ふたりとも腹が減っただろう。席に戻って食事の続きをしよう。」ユノさんが落ち着くのを待って、父さんが楽し気な声を上げた。「終わったら、チョン代表とウソンくんも交えて今後のことを話し合おうと思うのだが、いいかな?」「そのことですが、父にも兄にも何も話しておりませんので少しだけお時間をいただけないでしょうか。」「あ、いや、その・・・申し訳ない。」父さんが急に、ユノさんに向かって頭を下げる。「差し...
心の声に耳をすませて 249
- 2016/08/02
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招待客をすべて送り出し、ケータリング業者さんが後片づけを始めるのを横目に、さっきと同じ部屋に両家の男性陣が揃って座った。ウチはおじいちゃんが加わり、ユノさんとお父さま、そしてウソンさん。みんな和やかだった、たったひとりウソンさんを除いては。表面上はにこやかにしているけど、なんていうか、どす黒いオーラが出てる気がする。悪意っていうのは、感情の中で一番強いらしくて、特に自分に向けられたものは防ぐのも難...
心の声に耳をすませて 250
- 2016/08/03
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「妻も喜んでいるんですよ。」はあ?知ってたの?いつから?知ってて知らん顔してたの?!「ウチの妻にはまだ話してないんです。」お父さまが申し訳なさそうにうつむいた。「反対、されそうですか?」「いえ、薄々は感づいていると思うんです。ユノが男性のほうが好きだとわかっていても、女性も好きになれるならとせっせと見合いを勧めておりまして、ユノも母親想いの子ですから会わずに断るということはしなかったんですが、ある...
心の声に耳をすませて 251
- 2016/08/04
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「そうだ父さん、訊きたいことがあるんですけど。」「ん?ああ、わかった。とにかく着替えて顔を洗ってこよう。」「はい、じゃああとで書斎に伺います。」おじいちゃんはもう部屋に引き上げたようで姿がなく、父さんは歩きながら上着を脱ぎ、それを後ろから母さんが手伝ってふたりで部屋に入っていく。いくつになっても仲がいいよな、ウチの両親。ケンカとかってしてるの見たことないし。同級生たちの会話で、両親がケンカしたって...
心の声に耳をすませて 252
- 2016/08/05
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「あなたが生まれたときね、お父さんとおじいさまから、血の繋がりのない人には触れさせるなって言われたの。それがシム家のしきたりだって。5歳になるまでは離れで育てることも決まってた。」ぼくには理由がわかるけど、母さんにはわからない。「それは、出産のときから徹底されてたわ。お医者様も看護師さんも、医療用手袋を何枚も重ねづけしてた。それを見て、私も覚悟を決めたのよ。」理由がわからなくても、飲み込めるんだね...
心の声に耳をすませて 253
- 2016/08/06
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母さんが淹れてくれたお茶を持って、書斎を訪れる。「ああ、ちょうど頼もうと思っていたんだ。ありがとう。」母さんは父さんのこと何でもわかるんだな。「訊きたいことって?」ぼくの質問をあらかじめ知ってるような顔で、それでも訊いてくる。父さんがこんなに茶目っ気のある人だとは知らなかった。っていうより、こんなに家族と話したのって初めてなのかもしれない。「その前に、さっき母さんがきて」母さんの告白を父さんに話し...
心の声に耳をすませて 254
- 2016/08/07
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「だから、謝らなければならないのは母さんじゃなくて父さんなんだよ。すまなかった、おまえをひとりっ子にしてしまって。」「いえ、ぼくはしあわせですよ。もしかして、ユノさんとのことを認めてくれたのは、その罪の意識があってのことですか?」「あー、それは違う、いや、心の隅に少しはあったかもしれない、かな。ははは、自分でもよくわからないよ。」「最初は反対だったんでしょう?」「そうだな、おまえが相談してきたとき...
心の声に耳をすませて 255
- 2016/08/08
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「あの、ウソンさんがウチのことを『諜報部員と噂される一族』だって言ってましたけど、あれはどういう?」「うん、一部の人たちにはそう言われてるらしいね。」「さっきの話も、そう簡単に手に入る情報ではないんでしょう?」「あー、まあ、そうだな。次期代表になることは決まってるんだから、もう教えてもいいか。ウチの関連で情報管理会社があるだろう?あそこがそういう情報も探ってくるんだ。一般的な探偵業務と似たようなも...
心の声に耳をすませて 256
- 2016/08/09
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その夜、食事が済んでもシャワーを浴びても、ユノさんからの連絡はなかった。どうしたんだろう?お母さまが許してくださらないんだろうか。それとも、何かトラブルが・・・考え出すと悪いほうへ悪いほうへと思考が走ってしまって自分ではどうしようもなくなる。どうしよう、こっちから電話しちゃダメだよな。ベッドの上に座ってにらめっこしていた携帯の画面が明るくなってすぐ、タップして耳に押し当てた。「あ、れ?」「もしもし...