ご挨拶
- 2017/06/01
- 23:00
6月です!私が住んでいる地方では、毎日暑い日が続いていますが、みなさんのところはいかがでしょうか?テレビなどでもしきりに言われていますが、まだ体が夏仕様になっていないので、しっかり水分補給して熱中症予防しましょうね!さてさて、連載中の『人魚の涙』そろそろ卒業が近づいてまいりました。どんなふうに納まりをつけようか毎回悩むのですが、イメージはできてます(イメージだけかい!?)こんなふうに、自己満足で書...
人魚の涙 117
- 2017/06/01
- 23:00
「やったー!!」叫んだジヘちゃんは、両手でガッツポーズまでした。予想外の反応に、ユノと顔を見合わせてからもう一度ジヘちゃんを見ても、やっぱりうれしそうにはしゃいでる。「えっと、ジヘ?おまえ意味わかってる?」「わかってるよ、ふたりは恋人同士ってことでしょ?」「う、ん。」わかってるみたいだけど、だったらなんでこの反応?「そうかぁ、3人にひとりいるなんて聞いたけど、どんなに探してもわたしの周りには誰もい...
人魚の涙 118
- 2017/06/02
- 23:00
「こんなっ!おまっ!こんなハダカでっ!」「ちょ、ちょっと声おっきい。シィ~」「ユノ、落ち着いて。」肩で息をするほど興奮してるユノはいま、妹ジヘちゃんを心配する兄そのもので、うらやましくもあり妬ましくもあり。「よう見てぇ、ハダカって言うたって上半身脱いでるだけでぇ。オッパやって夏はそんな格好で家ん中ウロウロしよったろうが?」もう一度本に目を落とし、ページを何度もめくってみて、グッと詰まって顔を上げた...
人魚の涙 119
- 2017/06/03
- 23:00
「あのね、さっき3人にひとりがどうとかって言ってたよね?あれって?」「だから、男の3人にひとりがゲイなんでしょ?」ああ、やっぱり誤解してたか。「そうじゃなくてね、3人にひとりいるって言われてるのはセクシュアルマイノリティーの人たちなんだよ。」「それって、ゲイのことでしょ?違うの?」「英語圏では同性愛者を全部まとめて『ゲイ』って言い方するらしいけど、同性愛者は男性同士だけじゃなくて女性同士もいるんだ...
人魚の涙 120
- 2017/06/04
- 23:00
ユノの妹ジヘちゃんにぼくたちのことを話して受け入れてもらうというミッションは、ジヘちゃんがいわゆる『腐女子』だったことであっさりクリアされた。なんとなくユノがモヤモヤしてるっぽいけど、ぼくはホッとしてものすごく体がだるい。折しも、お母さんがお風呂に入りなさいと声をかけてくれて、ユノがぼくに先に行くように言ってくれて着替えを出そうとして忘れ物に気がついた。お父さんの車から降りたとき、トランクに積み込...
人魚の涙 121
- 2017/06/05
- 23:00
母さんはユノの家族全員にお土産を用意していて、みんなすごく喜んでくれた。シャワーを浴びている間にユノが敷いてくれた布団に転がったら、もうウトウトし始めて、ユノが戻ってきてとなりに潜り込んだ気配でぐっすりと眠りこんでしまった。目覚めるととなりには肘枕をついたユノがいて、ぼくを見下ろし髪を梳いてくれている。「起きた?」「ん。」「疲れてたんだな、よく寝てたよ。」「緊張してたから、かな。」「初めての旅行が...
人魚の涙 122
- 2017/06/06
- 23:00
ジヘちゃんは、横座りの膝の上で両手を組んで握りしめている。きっと、ユノがどれほど怒ってるかわかってるんだろう。ぼくはユノが落ち着くように、となりに座ったユノの膝頭をそっと手で包み込んだ。「ジヘちゃん、キミがボーイズラブに興味があるのはわかってる。でもね、キミが知りたいと思ってることはどんなに親しい間柄でも踏み込んじゃいけない部分だってこと、わかるよね?」ジヘちゃんはうつむいたまま、黙ってうなずいた...
人魚の涙 123
- 2017/06/07
- 23:00
ユノがジヘちゃんから離れて、心の隅でホッとしている自分がいた。実の妹に嫉妬するなんて、どれほど心が狭いんだ。「チャンミンオッパもごめんなさい。」「ううん。」ユノはジヘちゃんがぼくを呼ぶ『オッパ』が甘いって言ってたけど、ぼくにはユノを呼ぶ『オッパ』のほうが甘く聞こえるんだけどな。「あれ?そういえばお布団畳んでくれたんだね。チャンミンオッパ、気ぃ遣わんでよかったに。」「なんでチャンミンだけなんだよ、お...
人魚の涙 124
- 2017/06/08
- 23:00
自分がすると言うジヘちゃんを押しやって、ユノとふたりで食事の後片付けをした。たまに危なっかしいことがあるけど、ユノもずいぶん慣れてハラハラしなくなった。出かける準備をして、いつものようにバッグを背負うと、普段は携帯と財布をポケットに入れるだけのユノが、同じようにバッグを背負って部屋を出た。「めずらしいね。」「ちょっとね。」玄関前まで見送りに来てくれたジヘちゃんに、「おれたちが出たらきちんと鍵かけろ...