ご挨拶&あとがき
- 2018/03/01
- 00:00
3月になりました!!!ビギイベがありますね♡♡みなさんはいらっしゃいますか?私は大阪城ホールの13日昼・夜2回行きます!!楽しみです(*´艸`*)そしてそして『命綱』みなさまのおかげで無事最終回を迎えることができました!いつも応援いただき、ありがとうございました。このお話のチャンミンさんは、いろんな意味で自信のない人でした。ご両親に厳しく育てられたことにもその一因があったと書きましたが、子育てって本当に難し...
指先の記憶 40
- 2018/03/01
- 23:00
トゥギヒョンに休みを届け出たら、快く受理してくれて、定時に会社を出た。 車に乗り込んだけどまっすぐ帰る気にはなれなくて、独り身の気軽さでそのまま当てもなく車を走らせる。 なんとなく漢江沿いを流していたら、見覚えのあるホテルが目に入った。 あいつが消える数か月前、おれの就職が決まった祝いだと言って、あそこで一泊したっけ。 おれたち大学生には不釣り合いな高級ホテルだとエントランスで尻ごみするおれに、『...
指先の記憶 41
- 2018/03/02
- 23:00
しかしよく似てるなあ。なで肩に猫背に、丸い後頭部まで。その後頭部はゆらゆらと左右に揺れていて、まだ開店して間がないはずの時刻なのに、いったいどれほどのピッチで飲んだのかと呆れて見ていたら、バーテンダーさんがおれのほうを不思議そうに見つめていることに気づいた。相手が前を向いていておれのことは見えてないのをいいことに、不躾にジロジロ眺めてたことが急に恥ずかしくなる。すぐにカウンターに歩み寄って、先客と...
指先の記憶 42
- 2018/03/03
- 23:00
「ちょっとぉ、おかわり、ください〜」え?「お客様、そろそろお止めになったほうが」「なぁ~んで、もう一杯、もう一杯だけだからぁ~」この声!?酔っ払ってるから呂律が怪しいし、声もいつもとは違うけど、やっぱりこれは「チャン、、本部長!?」バーテンダーさんに向かってグラスを持ち上げてる横顔は、確かにチャンミンだ。「ん〜?だぁれ〜?」小刻みに頭を振りながら緩慢な動きでこっちを見る普段大きな目は、酔いのせいで...
指先の記憶 43
- 2018/03/04
- 23:00
酔っぱらいは重い。「本部長、しっかりしてください。」まだ飲むんだとごねるチャンミンを、抱きかかえるようにスツールから降ろした。部屋のカードキーが無造作にカウンターの上に置かれていたのを、拾って胸ポケットに入れ、バーテンダーさんがカウンターから出てきて忘れ物がないか見てくれて、バーの出入口まで送って来てくれる。「お部屋はこの階でございます。」はあ、さすが金持ち、最上階のスイートか。ほとんど自力では歩...
指先の記憶 44
- 2018/03/05
- 23:00
おれには一生縁がないだろう部屋の中は、目に入るものすべてが驚きの連続だ。寝室のドアはすぐに見つかったけど、その中がまた広くて、中にもドアがあって、チャンミンが眠ってるらしいのをいいことに、あちこちのドアを開けて回った。特注だろうバカでかいベッドがこじんまり見えるほど広い部屋。洗面所は、いわゆるパウダールームとかいうシャレた作りで、長い洗面台にボウルがふたつ、これってふたり並んで顔を洗えってことか。...
指先の記憶 45
- 2018/03/06
- 23:00
再会してからチャンミンはおれを「ユノ」と呼んだことはない。いつも「チョンチーム長」か「チョンさん」だった。なのに夢の中ではおれのことをまだ「ユノ」と呼んでくれてるってことなのか?そう言えばバーであったとき、「ユノの幻が見える」って言ってたよな。それほど想ってくれてると考えていいんだろうか。いやいや、こいつはいま既婚者で奥さんは妊娠中なんだ。そんなはずはない、よな・・・チャンミンは寝入ってしまったの...
指先の記憶 46
- 2018/03/07
- 23:00
バカでかいベッドの上は、もう2~3人寝られそうなほどあいているけど、チャンミンのとなりに潜り込めるほど図太くはない。だからと言って、飲み過ぎたせいでときどき苦しそうに唸るのが気になって、リビングに移動することもできない。仕方ないから、窓際にあった椅子とテーブルのセットの、テーブルを退かせて椅子の間を詰め、片方に座って、もう片方に靴を脱いだ足を乗せた。腕時計に目をやれば、まだ夜になったばかりの時刻だ...
指先の記憶 47
- 2018/03/08
- 23:00
「うっ、んっ、うわぁ~!」突然のチャンミンの叫び声に、何事かと驚いて立ち上がろうとしたら、椅子につまづき転びそうになった。「チャンミン、どうした?」駆け寄ってベッドの横からシーツをはがし、半分埋まってたチャンミンの顔を外に出す。「あ、ごめ、夢・・・・・え?ユ、ユノ?」「ああ。幻でも夢でもないよ。」チャンミンはガバッと起き上がったけど、めまいがしたのかふらついて、右手で額を押さえた。「ムリするな。あ...
指先の記憶 48
- 2018/03/09
- 23:00
2杯目のグラスを渡すときは指が触れないように気をつけた。チャンミンは口元だけで弱く笑んで受け取り、一口だけ口に含んで、残りが入ったグラスを両手でもてあそぶ。「なんだか、昔に戻ったみたいだ。すごく落ち着く。」「そうか。」「ねえ、怒ってるよね。」「何を?」チャンミンは顔を上げない。おれは立ったままなのが不自然な気がして、ベッドのチャンミンの足元にそっと腰かける。「ぼくが、突然いなくなったこと。」「怒っ...