ご挨拶
- 2018/04/01
- 00:00
4月になりました!!雪国さえ立ち往生するほどの豪雪の冬から、突然初夏の陽気がやってきたようで、体はもちろん心もついていけない状態です(;^ω^)ついていけないと言えば、東方神起がカムバックして、テレビにラジオにSNSにと、えっと今日は何に出てくれるんだっけ?な毎日です。これこそ本当の『うれしい悲鳴』ってやつですね♡カムバアルバムのタイトル曲『運命』のMVをまわしながら書いてますが、ついつい頭の中が「ふぅぅぅぅ...
指先の記憶 71
- 2018/04/01
- 23:00
それから、北風が白い花を降らせて世界的に新しい年を迎え、またひとつ年をとって、ふたりの誕生日の間の週末に、ささやかな祝いをした。おれにはよくわからないけど、奥さんが安定期に入ったとかで、はしゃいで電話してきたと複雑な表情でおれに話すチャンミンは、まだ気持ちの整理がついてないようだった。こっちは寒さのピークだけど、アメリカの西海岸の南のほうは昼間は半袖でもだいじょぶなくらい暖かいらしい。「サンディエ...
指先の記憶 72
- 2018/04/02
- 23:00
明け方、起きるにはまだ早い時刻に、目覚まし時計代わりに使っている携帯が騒ぎ出した。寝ぼけ眼には表示された文字はかすんで読めず、覚醒しきらない頭では誰からの電話かも認識できない。それでも、こんな時刻に電話がかかってくるなんて何か悪いことがあったに違いないという、胸騒ぎともいえない確信めいたものがおれを焦らせた。「もしもし、」『あ、チョン・ユンホさんですね?チョ・ギュヒョンです。』チョ、、ギュ、ヒョン...
指先の記憶 73
- 2018/04/03
- 23:00
大急ぎで着替えをスーツケースに詰め、パスポートと財布と携帯を背広のポケットに入れて、厚手のコートを着て外に出た。やっと明るくなってきた街は、それでももう動き出していて、大通りまで出てタクシーをつかまえ、仁川空港に急ぐ。途中でキュヒョンからアシアナ航空のラウンジにいると連絡が来た。「ユノさん。」頭を抱えてソファーに座っているチャンミンの横で、難しい顔をして立っていたキュヒョンが、おれの姿を見るや否や...
指先の記憶 74
- 2018/04/04
- 23:00
「すまない、こんなことになって。」チェ・シウォンは沈痛な面持ちで頭を下げる。そうか、奥さんの兄だったっけ、っていまさらなことを思い出した。どうやらおれもかなり気が動転しているようだ。「謝らないでください。それよりシラは?」「命に別状はないようだが、子どもは・・・」「そう、ですか・・」キュヒョンはおれたちを機体があるところまで連れて行ってくれて、シウォンと少ししゃべってから、おれに「お願いします。」...
指先の記憶 75
- 2018/04/05
- 23:00
リクライニングがほぼフラットにまでなる大きな椅子で、空調は完璧、エンジン音もさほどうるさくはなく快適でも、この状況で眠れるはずもない。サーブされた機内食はレストラン顔負けの豪華な食事だったけど、残念ながら食欲はなく。それでもおれとシウォンは、なんとか口に放り込んで飲み下したけど、チャンミンは手をつけようともしなかった。シウォンに、チャンミンまで倒れたら困るからって言われて、やっとスープを口にしたけ...
指先の記憶 76
- 2018/04/06
- 23:00
夜中だから受付は締まっていて、足早に歩くシウォンの後についてERと書かれた場所に行った。アメリカのドラマで観たことがあるけど、ほんとにERって眠らないんだ。ドラマで観たほどひっきりなしじゃないけど、いまも救急車が一台停まっていて、新しい患者を運び込んだところのようだった。色は何種類かあるけど、同じ服を着たいろんな人種の人たちが、あちらこちらに走り回っている中で、シウォンは通りがかったひとりをつかまえて...
指先の記憶 77
- 2018/04/07
- 23:00
「あ、えーっと、秘書の方はご家族ではありませんので、ちょっと、」「はい、私は外で待って」「いえ、彼には同席してもらいます。ぼくの家族同然の人だから。」チャンミンはおれの手を握る勢いで手首を掴んで引っ張る。おれは掴まれた手首より、胸の奥が痛い。おれを家族同然とまで言うチャンミンは、おれの痛みに気づいているんだろうか。「そうですか。では、チェ・シラさんの状態についてご説明いたします。肋骨が2本折れてお...
指先の記憶 78
- 2018/04/08
- 23:00
「お、兄、さま」突然聞こえた、弱弱しくくぐもった声。『オラボニン』時代劇以外で聞いたのは初めてかもしれない。医師がいち早くベッドサイドに寄り、シラにひとことふたこと話しかけて、体につながってるんだろう機材をいくつかチェックして、誰に言うともなく「あまり興奮させないでください。」と言い置いて部屋を出ていった。「シラ!おまえ、どうしてっ」シウォンは妹のそばに寄るや否や問い詰めようとして、思いとどまって...
指先の記憶 79
- 2018/04/09
- 23:00
シラが騒いだことで、おれたちは病院を追い出された。玄関の車寄せに立ったシウォンが片手を上げると、リムジンが静かに目の前まで来て停まる。どれくらいかかるかわからないのに、ずっと待ってたのか?っていうか、このリムジン、いったいどこから来てるんだ??後ろに乗り込んでも、チャンミンはまだ放心状態で、ふかふかのシートにどっぷり体を沈めて目を閉じている。「チャンミンくん、妹が申し訳ないことをした。すまない。本...