明けました!
- 2019/01/01
- 00:00
旧年中はみなさまにお世話になり、ありがとうございました。ときどき新しい読み手さまが過去話を読んでくださってるのがわかると、うれしくてワクワクドキドキしました。拍手やコメントをくださる方は、勇気を振り絞ってくださってるのですよね?読んでいただくだけでもしあわせなのに、本当にありがたいと思っています。今年もきっと、修業の旅やらヤボ用やらで自分の時間を作るのに工夫が必要だと思いますが、これからも読んでい...
巻かなかった世界 111
- 2019/01/01
- 23:00
@Yチャンミンから過去の傷を知らされて、ますます愛おしいと思った。チャンミンがどう思うかわからないから言葉にはできないけど、かわいくてかわいくてたまらない。抱きしめられることにトラウマがあるようで、おれが抱きしめたら震え出したときにはどうしたものかと思ったけど。あんなアクシデントがあって、我が家に連れてきてしまったけど、これって結果オーライってやつ?だって、あんなことがあったからチャンミンは、何も...
巻かなかった世界 112
- 2019/01/02
- 23:00
@Yいろいろ吐き出して楽になったのか、顔から緊張感が抜けて、よけいにかわいさが増す。そんな顔でじっとおれに目線を向けてくるチャンミン。たぶん本人は意識して見つめていたわけじゃないんだろう。おれが見つめ返しても焦点が微妙に合ってない感じだったから。けど、、「そんなふうに見つめられると、おれ、ガマンできなくなるんだけど。」つい本音を漏らしてしまった。抱きしめるだけじゃなく、抱きたいんだってことを。最初...
巻かなかった世界 113
- 2019/01/03
- 23:00
ユノさんと出会ってから、ぼくは変われたと思っていたのに。『そんなふうに見つめられると、おれ、ガマンできなくなるんだけど。』最初は何のことを言ってるのかわからなかったけど、わかってしまったらすぐにまた、それはぼくのせいだ!って思った。校長先生に言われたことで、ぼくが無意識に誘って、ゲイじゃない男を惑わせているわけじゃないってことはわかったけど。ユノさんに言ったように、自分の中のすべてが解決したわけじ...
巻かなかった世界 114
- 2019/01/04
- 23:00
「お、おい、」ぼくの勢いが強すぎて胡坐をかいたまま仰向けにひっくり返りそうになったのをなんとか踏みとどまったユノさんに、ぼくは何を言えばいいんだろう。「ユノさん、ぼく、」何か言わなきゃって焦るけど、この状況に合う言葉が見つからなくてますます焦る。ユノさんの顔は見えないし黙ってるし、きっとユノさんは戸惑ってるんだと思った。それに膝立ちでユノさんにもたれかかってるから、もしかしたらユノさんは重いかもし...
巻かなかった世界 115
- 2019/01/05
- 23:00
不自然な姿勢でいたから、膝が痛くなってくるし、脚が小刻みに震え出して、それに気づいたユノさんがぼくを座らせてくれた。「ごめんな、脚だいじょぶか?」「大丈夫です。」ユノさんを避けて脚を投げ出し、腿をさする。「おれがマッサージしようか。結構うまいんだよ?」「あ、いや、」ユノさんに腿に触られるなんてムリ!「大丈夫です!」するとユノさんは、「残念。」なんて言ってクスッと笑うんだ。きっとぼくの気持ちを上げて...
巻かなかった世界 116
- 2019/01/06
- 23:00
「チャンミン、夕食はどうする?」「えっと、、?」どうする?って、どういう意味?「あ、悪い。訊き方が変だったな。疲れてて帰りたいなら送ってくし、まだだいじょぶならどこかに食べに行く?」「あ、あの、食材ってありますか?」母さんには夕食はいらないって言ってあるし、正直少し疲れた気もするけど、まだ帰りたくない。「あー、えっと米が少しあるくらい、かな。冷蔵庫は水といろんなフルーツ牛乳が入ってるだけ。」料理は...
巻かなかった世界 117
- 2019/01/07
- 23:00
@Yチャンミンがいきなり抱きついてきたのには驚いた。『そんなふうに見つめられると、おれ、ガマンできなくなるんだけど。』おれが考えなしに放ったひとことで、チャンミンを傷つけてしまったと思っていたのに。何を思っておれに抱きついてきたのかわからなかったけど、どんな理由だったとしてもおれはうれしかった。「チャンミンの重みを受け止めるみたいに、チャンミンの悩みもおれが受け止める。」言ってから、自分でもちょっ...
巻かなかった世界 118
- 2019/01/08
- 23:00
@Yマンションの外に出たら夕暮れが迫っていて、下がった気温に思わず首をすくめる。「寒いな、車で行こうか。」「けど、すぐ近くなんでしょう?ぼくは歩きたいな。」同じように首をすくめたチャンミンが目をキラキラさせてそう言うから、並んで歩きだした。ホントは手をつないで歩きたいけど、まだ暗くはなってないから誰に見られるかわからないし、できるだけ寄り添って歩く。ここはチャンミンの実家からも勤め先の学校からも距...
巻かなかった世界 119
- 2019/01/09
- 23:00
@Yチャンミンがどんな顔をしているのか見るのが怖くて、視線を向けられずにいた。バンビのことは話してあるから、自分が誰と間違えられてるかはわかってるだろう。おれはバカだ。浮かれてすっかり忘れていた。バンビが何度もここに買い物に来て、この人はしっかり覚えてくれてたんだ。チャンミンをバンビと間違うかもしれないことは、容易に想像できたのに。おれの心の中にはもう、バンビじゃなくてチャンミンが住み着いてるから...