ご挨拶
- 2021/04/01
- 00:00

4月になりました。3月は長いのか短いのかわからない一か月でした。今年に入ってからしばらく、忙しいけどしあわせな日々が続いていたのに。今日からは新番組のMCでドキドキできるはずだったのに。好事魔多しあまりに順調すぎてねたまれたんでしょうかね。けれど、ユノさんはきっとまた復活してくれます。分裂騒動のときだって散々叩かれたけど、見事に復活してくれましたから。私はただ信じて待っています。...
シルクとコットン 432
- 2021/04/01
- 23:00

チャンミンを起こさないようにそっとドアを開けて中に入る。そーっとそーっと、、、「おかえり、ユノ。」「びっ、、、くりした~」静かに動いてたつもりだったんだけどな。「悪い、起こしちまったか。」「ううん、眠れなかった。でも少し楽になったよ。」ごそごそと起き上がってきたのを見て、照明のスイッチを押した。「うわっ、すごい荷物だね。」「ああ、食べ物仕入れてきた。あと着替え。」「ああ、ありがとう。泊まるつもりな...
シルクとコットン 433
- 2021/04/02
- 23:00

チャンミンは、あっ、と声を上げて、「ユノ、ごめん。ぼくのカバン、どこに置いたっけ。」チャンミンに物のありかを訊かれるなんて初めての経験だ。確かここに入ってきたとき、背中からおろしたデイバッグを作り付けの棚の上に、、、「あ、あった。」見つけたデイバッグは、チャンミンの性格では考えられないことに、無造作に放り投げられたように形が崩れて、半分棚から落ちかけていた。それだけ疲れていたってことだろう。カバン...
シルクとコットン 434
- 2021/04/03
- 23:00

さすがに買ってきた物は全部食べ切れなくて。「明日の朝ご飯にしようね。」チャンミンがまとめられるものはまとめて冷蔵庫に入れ、捨てるものはいつもバッグに入っているゴミ袋に入れてゴミ箱の横に置く。おれはソファーに座ったまま、いつも通りにてきぱきと動くチャンミンを見ていた。「ユノ、少し話がしたい。」「いいよ。」作り付けの棚に置いてあるポットでお湯を沸かし、温かいお茶を淹れてソファーに戻ってくる。「サンキュ...
シルクとコットン 435
- 2021/04/04
- 23:00

「飲み会をふたりで抜けようって声かけたのも、たぶんチャンミンが自分に好意を持ってるって思ってたからだろうし。」少なくともチャンミンだって、あの人となら付き合ってもいいと思ってたって言ってたもんな。「あ、」「そうじゃなきゃ、少しくらい年上だからって女性からそういう誘いをするのは勇気がいると思うんだ。いくら酒が入ってるとしてもな。」「そう、だね。ぼくはあのとき、そこまで思いつかなかった。自分のことで頭...
シルクとコットン 436
- 2021/04/05
- 23:00

翌日の午後、ミンソプが勤める法律事務所の相談室はおかしな熱気に包まれていた。昨日と同じ顔触れが昨日と同じ場所に座っているけど、顔つきがまったく違う。みんな一様に興奮気味だ。昼前にウチの店から仕事で使っているおれのノートパソコンを持ってきた。チャンミンが事務所のWifiに接続して。3人の女性たちもそれぞれにパソコンやタブレットを持ってきている。配信されるチャンネルを表示してスタンバイOK。ミンソプが淹れて...
シルクとコットン 437
- 2021/04/06
- 23:00

『こんにちは【女性の相談室】へようこそ。私は室長のユン・ヨジョンです。』マイクに向かってしゃべっているのはベテランの女性。カメラは正面ではなく、斜め上から彼女を映している。たぶんお義母さんより10歳ばかり年上だろうか。落ち着いた低音が耳に心地いい。『本日のご相談はこちらの方です。』片手で拾い上げた紙を、両手で前に広げて目線がそこに下りる。まだ相談内容が読まれていないのに、画面の左側を視聴者の書き込み...
シルクとコットン 438
- 2021/04/07
- 23:00

相談室長が相談文を読み進むにつれ、相手の医師への怒りのコメントが増えていく。しかし一方で、[玉の輿狙ってたんでしょ?][自業自得じゃん。]相談者に対する批判も書き込まれる。『でもこの人、本当に看護師さんを愛してたのかしらね。』[愛してなんかいないでしょww][性欲処理に利用されただけよ。]『それってセクハラよね?』[合意の上だからセクハラにはならないんじゃない?][騙したんだから立派なセクハラよ!...
シルクとコットン 439
- 2021/04/08
- 23:00

しばらく画面には「男」という言葉が次々と湧いて出てきた。『その先生はバイセクシュアルだったみたいね。』[本当にそうなのでしょうか。]え?いま書き込んだのって、ナヨンさん?![女性だとセクハラで訴えられるかもしれないけど、男性なら訴えないと考えたのでは?]『ああ、そういうこともあるかもしれないわね。もしかしたら訴えるって人がいたのかもしれないし。』[でもまだ訴えた人がいないのはどうして?][そりゃ首...
シルクとコットン 440
- 2021/04/09
- 23:00

それから、他の病院の名前らしきものがいくつか上がって。何人かの医師の名前らしきものも上がったけど、全部伏字というか一部を隠してたり頭文字だけだったりで。わかる人にはわかるみたいだけど、おれには誰のことやらさっぱりだった。「誰のことかわかるか?」「ううん、ぜんぜん。」チャンミンも首をひねるばかりだったけど。前に座った3人は小声で、誰のことなのかを推理しているようだった。そのうちおれは、つぎつぎ流れて...