シルクとコットン 345

「チャンミン、あの事務長ってどんな人なんだ？」



「さあ、直接の関りはほとんどなかったから。」



「あの人もカン一族なのか？」



「あー、一族といえばそうかもしれないかな。前院長の奥さまの弟、だったと思うから。」



「ってことはカン・セナの叔父さんか。」



「でも事務長さんの評判は悪くなかったよ？物腰の柔らかい優しい人だって聞いたことがある。」



うーん、確かに人当たりは良さそうだったけど。



「封筒の中身を知らずに持ってきただけってことかな。」



「そうかもな。いくらセレブ御用達の病院だからって、この金額はでかすぎだ。ヘタすりゃ経営を圧迫しかねないのに事務長が黙って言われた通りにするとは思えない。」



さすがミンソプ、だてに弁護士バッジはつけてない。



「でもこの金額を出すとなると理事会の承認がいると思うんですけど。」



あ、、



「確かにそうだな、チャンミン鋭い。カン・セナ個人は大金持ちだけど病院がそれほど儲かってるとは思えない。」



ミンソプに『チャンミン』呼ばわりされるのはイヤだけど、ここは黙っておこう。



「事務長も病院は競争が激しいって言ってたからな。けど、もしもカン・セナ個人の金を出そうとしてたら？」



「あー、それは俺の専門じゃないけど、たぶん税務上問題があるんじゃないかな。ナースの制服代は病院の経費だろ？それを理事長とはいえ個人がポケットマネーで出したら貸付金扱いになるんじゃないか？」



聞いただけで面倒くさそうだ。



「まあ、あんな大病院は税理士や会計士も抱えてるだろうから、ちゃんとやるだろうけど。それにしても理事会は通さなきゃいけないだろう。」



理事会か・・



「誰がいるか調べとこうか？」



「頼めるか？」



「ああ。それほど手間はかからないと思う。おまえんとこのお客さんでも入ってりゃ、加勢してもらえるんだけどな。」



ウチのお客さんがカン家と関りがあるとは思えないけど・・・










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