シルクとコットン 395

いつもより少し早く店を出たせいで、ソン医院に着いたときにはまだ診療が終わっていなかった。



医院の前を通り過ぎたところで車を路肩に停め、中でチャンミンを待つ。



診療は７時までだけど、それから片づけをしているのか10分くらいは出てこない。



待っている間に、持ち歩いているスケッチブックにデザインを描いていた。



コンコンコン



窓を拳の外側で叩く音がして我に返って。



すぐに助手席のドアを中から開けた。



「おかえりチャンミン、お疲れさま。」



「ただいまユノ、ユノのほうこそお疲れさま。」



持っていたスケッチブックをチャンミンに預けて、エンジンをかけた。



「今日は早かったんだね。」



「ああ、お客さんが切れたところで帰ってきた。」



チャンミンはいつもとまったく変わりないから、あのニュースのことはまだ知らないんだろう。



このまま言わない、、ってわけにはいかないだろうな。



あっという間に家に着き、車を停めて玄関から中に入る。



台所のお義母さんに声をかけてから部屋でうがい手洗いと着替えをして。



さあ台所に、と思ったところでチャンミンに呼び止められた。



「でもぼく知らなかったな、ユノがマダムリーとお付き合いしてたなんて。」



はあ？



「な、なんで、」



「なんで知ってるかって？奥さんが教えてくれたんだよ。奥さんは娘さんから聞いたらしいけど。」



「あ、ああ、そうか。け、けど」



「何？言いたいことがあるなら言ってみて。」



チャンミン、口元は笑んでるのに目が怖い・・・










最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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