シルクとコットン 404

「先生、あの、」



ナヨンさんが言いたいことも口ごもる理由もわかっている。



わかっているけど、、



「すみません、詳しいことは話せません。ただ、」



やっぱり言っておかなきゃ気が済まない。



「チャンミンが誘惑したというのはウソです。」



事実無根だと言いきれたらどんなにいいだろう。



けど、あの医者と関係があったのは事実なわけで。



だけどチャンミンが誘惑したなんてとんでもない。



チャンミンはあいつに利用されてただけだ。



「そう、ですか。つまりこの医師とチャンミンさんがお付き合いしていたことは事実なんですね。」



あ、



頭に血が上って深く考えてなかったけど、おれが言ったことはそういうことだ、、、



「先生、本当のことをおっしゃってくださってありがとうございます。そうじゃなければ私たちは事実無根、名誉棄損で訴えようと提案するところでした。」



私たちってことは、もう法務チームとそこまで考えてくれてたのか。



「でもそうなると戦い方を変えなければいけませんね。それはもうすぐチェ弁護士さんもいらっしゃいますから相談するとして、、先生、チャンミンさんは大丈夫ですか？」



あ、チャンミン、



「けどチャンミンはたぶんまだ知らないと思います。」



「お仕事中だから、ということですね。でも、誰かが知らせるかもわかりませんよ？それなら先生から知らされるほうがいいのではありませんか？」



そういえば前のときも奥さんが教えてくれたって言ってた。



本音はもちろんいますぐに飛んで帰りたい。



「でも、」



「ユノ、帰ってやれよ。こっちはナヨンさんとミンソプくんと話しとくからさ。」



「先生、そうしてください。いますぐどうこうできるわけではありませんし、いまはチャンミンさんのそばにいてあげてください。」



「ありがとうございます、そうさせていただきます。」



おれはすぐに荷物を掴み、ナヨンさんとトゥギヒョンに頭を下げて店を飛び出した。










最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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