シルクとコットン 408

「帰ってきてくれてありがとう。ぼくひとりでこの記事読んでたら、正気でいられなかったかもしれない。」



おれがあのとき取り乱したことは黙っておこう。



「そうだ、さっきミンソプから電話があって、みんなついてるからだいじょぶだって言っといてくれってさ。」



「さすがユノ、友だちが多いっていいね。」



「何言ってる。今回はおれじゃなくておまえのために集まってくれたんだから、おまえの友だちだ。だろ？」



突然顔を上げたチャンミンがおれの頬にチュッと音を立ててキスをして、サッと立ち上がる。



あっけにとられて動けないおれを振り向いて手を差し伸べ、



「行こう。母さんにきちんと話さなきゃ。」



「あ、ああ。」



「そのあとソン先生と奥さんにも話に行こうと思うんだけど、ユノもいっしょに行ってくれる？」



「いいよ。」



差し出されたチャンミンの手を握って立ち上がれば、チャンミンもおれの手を強く握りしめる。



「ユノがパートナーでよかった。」



「それはこっちのセリフだ。」



微笑みを交わし、一度だけギュウッと長めのハグをして、手をつないで食堂に向かった。



お義母さんは不安だったのかおろおろと歩き回っていたようで。



おれたちが入っていくと、急に作り笑顔を浮かべて、



「もう話は終わったの？じゃあ食べましょ？」



なんて、バタバタし始めた。



「あのね母さん、話があるんだ。」



チャンミンはお義母さんに座るように促して。



おれにもいつもご飯を食べるときの家長の位置じゃなく、となりの椅子を勧めて。



おれは椅子の位置をずらせてチャンミンの椅子とくっつけて座り、横から膝の上のチャンミンの手を握った。










最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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