肌色の宝物 218

ユノさんは、ぼくたちの出身大学校でもあるソウル大学病院に入院した。



家からも遠くないからここで人間ドックも受けてるし、ぼくたちの体の情報はすべてここにある。



ユノさんがこのところ何度も肺炎にかかったのは、若いころタバコを吸っていたからかもしれない。



ぼくと知り合ったときにはもう吸ってなかったけど、それ以前はかなりのヘビースモーカーだったらしい。



シウォンさんは自分が会社に連れて行ったから、ストレスで吸っていたんだろうと悔やんでいた。



そのシウォンさんもいま、同じ病院内のVIP病室に入院している。



ユノさんも、VIP病室とはいかないけど、広めの個室に入れてもらった。



光州から妹さんと姪・甥の家族が駆けつけてくれるから。



妹さんの旦那さんは数年前に先に旅立っていて。



妹さんは目を泣き腫らしていたけど、気丈に振舞っていた。



ぼくはただただユノさんのそばにいるだけだった。



入院準備はぼくがしてあったけど、入院すると決まったときからぼくの妹たちとその子どもたちが来て、手続きやその他のことをしてくれて。



昔は、同性パートナーは医師の説明を聞けなかったり、病室で付き添うこともできなかったけど。



そういう方面では世界から遅れていた我が国も、いまでは同性パートナーの権利が守られている。



ぼくたちが生きているうちにこういう状況になってくれてよかった。



ユノさんは発熱して意識が朦朧としていて。



それでもぼくが手を握っていると、ときどき強く握り返してくれた。



色白のユノさんの顔は、熱のせいでほんのり赤く染まっていて。



若いころのようなハリがなくなり、シワやシミがふえてしまったけれど。



それでも少し色っぽいなと思ってしまった。










最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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