天使のお仕事 19

「あ、あの、その話、詳しく教えてもらえませんか？」



まだあまり親しくない先輩だけど、どうしても知りたくて話しかけていた。



「え、あ、知らないのか？天使が魔界に落とされるって話。」



「はい、聞いたことありません。」



「そうか、、じゃあ教えてやるよ。おまえたち、汚れた魂を洗う仕事があるのを知ってるか？」



「ああ、それなら知ってます。」



チャンミンと顔を見合わせて、うなずき合った。



「水くみ場の水で洗うんですよね？」



「ああ、あれは清浄な水だからな。だけど、魂を洗うのって難しいんだ。ごしごしこするってわけにいかないから。」



「傷つけちゃいけないんですよね。」



「そうそう、だからこびりついた汚れが残っちまうんだけどよ。そうなると一生懸命やってんのにきれいにならねえってんで、洗ってる天使が疲れてきちまうんだと。」



その気持ちはわかる気がする。



「けど、一生懸命だから休まないで仕事を続けてるうちに自分自身が傷ついて、そこから落としたはずの汚れが中に入っちまって、中で汚れが拡がっていくんだと。」



おれたちは魂が人型に具現化した存在だ。



その中に汚れが入り込んでしまったら、それが拡がってしまったら、、、



「それはぼくたち自身が汚れる、ってことですか？」



「そういうことだ。」



チャンミンがぶるんと身震いして、おれはその肩を抱いたけど、それはチャンミンの震えを抑えるよりも自分を抑えるためだったかもしれない。



罪を犯した人の魂が汚れていくのはわかる気がするけど。



それを洗っている天使の身の内に汚れが入り込むなんて、、



そんな恐ろしいことがあっていいのか？










最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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